たからや「蟹豆乳そば」 福井市

「蟹豆乳そば」は、いわば「かけそば」の変化形のメニューで、「種もの」に分類できます。
「かけそば」とは温かい汁の中にそばを入れた料理で、冷たい「もりそば」と並ぶそばの基本のメニューです。一般的な「かけそば」は、汁に濃口醤油を使い、出汁は鰹節、鯖節などを使って作りますが、『たからや』では、このそばを、もっとおいしく、もっと楽しくするために、汁に豆乳を使い、醤油は色が濃くて醤油感の強い濃口醤油を避けて、味付けを工夫しました。
さらに、具材に、海の味覚の王者ともいわれるズワイガニ(福井では越前蟹と呼ぶ)を合わせ、ほうれん草など、緑の野菜をトッピングしました。
もちろん、「蟹豆乳そば」の作り方は単純ではなく、例えば豆乳は特別なものを選んだり、出汁には昆布を使うなど、様々なこだわりが凝縮しています。だから、こんなにおいしいそばができるのです。

「かけそば」は、醤油と出汁とそばの一体感を楽しむ食文化です。具材を乗せた「種もの」は、そこに具材のおいしさが加わります。
 ズワイガニを使い、豆乳にそばの「かえし」を合わせた「蟹豆乳そば」は、海に面し、良質の在来種のそばが守られた福井が生み出した、傑作メニューということができます。もちろん、それを作り出したのは『たからや』ですが、福井の風土と『たからや』の宝山さんが力を合わせた結果、生み出されたものなのです。